『A』
◇
「ヒメーーッ!!」
叫びながらビルの中を疾走する亮。
数多くある部屋を、しらみ潰しに探す。
彼の探し物は勿論、白髪の少女。
ただそれだけを頭の中に入れ、驚異的な脚力でビル内部を駆け回る。
扉等いちいち丁寧に開けていられない。
扉という扉を全てを蹴破り、中を確認しては走り出す。
その繰り返しを繰り返す。
………
一体どれだけ走ったのか、一度も止まることがなかった彼の足が、ピタリと止まる。
「………アンタらか」
亮の前に立ち塞がったのは、それぞれ、空手、柔術、骨法を極めし達人達。
「ヘヘッ、嬉しいぜ」
「何?」
「アンタらがここにいるってことは、このビルでアタリってことだろう?
ヒメは…ここにいる!」
「フッ、そんなことを気にする必要はないよ
おまえは…ここで死ぬのだからな!」
「上等ぉっ!
全員まとめてのしてやるぜ!」
獲物に跳び掛かるライオンのように、亮は素早くしなやかに、三人に襲い掛かる。
達人クラスの格闘家達が、この狭い廊下で激突する!