『A』
 
その後、余りの食パンを全て平らげられた後、時間になったので、二人は○○美術館へと向かった。

………

「お、二人一緒に来るなんて、仲良〜んだ〜」

「ああ、さっきもバナナかキウィを口に含むよう言われ、結局、バナナの味を存分に堪能させられたぞ」

「え……それって」

美柑が、もし漫画ならボッ!なんて擬音がつけられる程、一瞬で顔が真っ赤になる。

「ちょ、所長、そんな言い方じゃ誤解され……!」

「最低だな、無理矢理かよ」

[最低ですね
このエロ]

「ちょっ、綾瀬さんまで!?」

すると突然、ガシッ!と後ろから肩を掴まれ、無理矢理力ずくに振り向かさせられる。

「堀田く〜ん
ちょ〜っと、お話伺ってよろしいですか?」

いつものエレガントな微笑を浮かべながら、話し掛けて来る匠。

ただ、よ〜く見てみると、こめかみのところに、血管が浮き上がっている。

「ヒ、ひいぃぃ〜」

この男、普段は冷静沈着なのだが、響子が絡むと途端に“マジ”になる、本気と書いて“マジ”だ。

「冗談だ、鷹橋
さっさと仕事の話に戻るぞ」

「おや冗談でしたか、これは失礼」

手から力がフッと抜け、ようやく解放される。

しかし、やられた方は冗談ではない。

「痣残ってんじゃねぇの?コレ」と、貫はぶつくさ文句を垂れ流す、ただしチキンな彼らしく、心の中で、だが。

「堀田、いつまでもふざけてんなよ
早く仕事しろ」
「オイのせいやなかろうもん!
オイはいっちょんふざけとらん!」
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