『A』
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少女がいる部屋のすぐ少し前で、亮は苦戦を強いられていた。
コンビネーションによる攻撃に切り替えた三人の攻撃は、亮の想像を遥かに上回るものだった。
各々が、それぞれに与えられた役割を完璧にこなし、
また、状況によって役割を入れ換える。
空手が、主に遠距離戦を担当の牽制役。
まるで岩のような、鍛え抜かれたゴツゴツとした拳足は、ただ当てるだけで相手にダメージを与えることができる。
故に、不用意には近付かず、亮と一定の距離を取りながら、あわよくばトドメを狙う。
柔術は、接近戦を担当する足止め役。
亮を上回るパワーと、相手を制する技術で、亮を完全に押さえ込み、残りの二人にトドメを刺させる。
勿論、隙あらば投げを狙う。
この男のパワーで叩き付けられたら、亮とて無事では済まない。
骨法は、遠近こなす万能型で、最初は撹乱、そして、主にトドメの役割を担う。
その独特の構えから行われる、足をスライドさせて移動する歩法で、ユラユラと奇妙な動きをして、相手を牽制する。
そして、一撃必殺の威力を持つ“徹し”を、虎視眈々と狙う。
つまりは、牽制、足止め、トドメの三役が存在し、しかも何の合図もなくその役割が入れ代わる。
いかな亮とて、おおよそ無限に存在する三人のフォーメーションを、完璧に見切るのは不可能である。