『A』
亮としては、各個撃破といきたいところ。
三人だからこその完璧なコンビネーション、一人倒してしまえば、亮が圧倒的優位に立つ。
だが、そんなことは彼らとて百も承知。
常に味方をフォローするその完璧なコンビネーションは、亮にそう易々と好きにはさせない。
「チェストォー!」
空手家が放つ跳び足刀蹴り、空中で、実に四発もの蹴りを放つという身軽さ。
それを体捌きだけで躱す亮、着地時の隙を狙い攻撃しようとした瞬間…
「っ!しまっ!」
「あ…あ〜、つ、捕まえたんだな…」
大男に捕まってしまった。
その大きすぎる隙を逃す彼らではない。
足をスライドさせ移動し、亮へと接近し、ペタリ、と、亮の頬に手を添えて…
「フォウッ!!」
ブルンと、全身を回転させ、亮の脳に直接衝撃を与える。
外部ではなく衝撃で内部を破壊する打撃。
これが、一撃必殺の骨法の“徹し”、脳を揺さぶる掌法の妙技だ。
「くっ…あ……」
脳内をシェイクされ、亮の視界は歪み、意識は薄れて行く。
三半器官を完全にやられ、立っていることすらできなくなり、亮は、床に突っ伏した。