『A』
 
亮としては、各個撃破といきたいところ。

三人だからこその完璧なコンビネーション、一人倒してしまえば、亮が圧倒的優位に立つ。

だが、そんなことは彼らとて百も承知。

常に味方をフォローするその完璧なコンビネーションは、亮にそう易々と好きにはさせない。

「チェストォー!」

空手家が放つ跳び足刀蹴り、空中で、実に四発もの蹴りを放つという身軽さ。

それを体捌きだけで躱す亮、着地時の隙を狙い攻撃しようとした瞬間…

「っ!しまっ!」

「あ…あ〜、つ、捕まえたんだな…」

大男に捕まってしまった。

その大きすぎる隙を逃す彼らではない。

足をスライドさせ移動し、亮へと接近し、ペタリ、と、亮の頬に手を添えて…

「フォウッ!!」

ブルンと、全身を回転させ、亮の脳に直接衝撃を与える。

外部ではなく衝撃で内部を破壊する打撃。

これが、一撃必殺の骨法の“徹し”、脳を揺さぶる掌法の妙技だ。

「くっ…あ……」

脳内をシェイクされ、亮の視界は歪み、意識は薄れて行く。

三半器官を完全にやられ、立っていることすらできなくなり、亮は、床に突っ伏した。
< 353 / 401 >

この作品をシェア

pagetop