『A』
 
軽く商品を物色した後、食パンを1斤レジへと持っていく貫。

「あ…こないだ買ったジャム、美味かったですよ」

「アァー〜ッハハハハ!
そうでしょうとも!
…うんうん、それで今日も食パンを買ってくれてるってわけですね
あざぁーす!」

「まぁ、そんなところです………あれ?
右腕、どうかしたんですか?包帯なんかして…」

「え?
あ、ああ〜、仕事中にちょっとやっちゃいましてね
なに、たいしたことはありませんよ」

ホラ、と、右腕を振り回す店員さん。

ブンブン…ガシャン!
「おっと!」

振り回した手が、レジに置かれていた花瓶に当たり、倒れてしまいそうになる。

それを、どうにか倒れる前にキャッチした。

「おおっと!すいません、ありがとうございます」

「ハハハ、気をつけて下さいね
………ん?この花瓶…」

「ああ、なかなかいいでしょう?
…まぁ、本当は違うものが欲しかったんですけどね」

「そうなんですか…」

「?
欲しくてもあげませんよ」

「ああ、いや、そうじゃなくて…
どこかで見たことあるような気がしまして、ね…
ま、それだけです
…それじゃ、食パン、貰っていきます」

「はい、どうもまいどありー」

カランコロン

「ありがとうございましたー!!」

「さて、事務所でジャム塗ってパンでも食うかなっ、と」

TO BE NEXT →『姫は猫がお好き』
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