『A』
姫は猫がお好き
白い少女黒い猫に会う
「おはようございます!」
「………おはようです」
振り返りもせずに、返事を返す白い少女。
「…今日は綾瀬さんだけですか?」
「…はいです」
事務所に来た貫を迎えたのは、何やら熱心にパソコンの画面を見ている少女のみだった。
綾瀬石姫(あやせ いしき)…名前に姫の字が入っていることから、所員からはヒメと呼ばれている。
パッと見どう見ても成人してないのだが…実際のところは不明だ。
基本『A』は、一つの依頼に全員が参加する、ということはなく、依頼に適した人物のみで仕事にあたる。
その為、その時来ている依頼の内容によっては、何もせずに暇、という人物が出てくるのである。
…で、今正に、彼女と彼、つまりは石姫と貫が、暇人、というわけだ。