『A』
 
地球の周りには、様々な目的で打ち上げられた人工衛星が多数存在する。

キチンと仕事をしているものもあれば、役割を終えてただ漂っているものや、目的にそぐわず廃棄されたものもある。

石姫は、そんな、ただ漂うだけとなった人工衛星を、打ち上げた機関をハッキングして、いくつか支配下に置いていた。

完璧に機能を失ったものもあれば、中には推進剤が余っているものもある。

そこで石姫は、推進剤が余っているものの中から三つを選び出し、地球に落ちる軌道へと導く。

そう、『赤い三連星』とは、人工衛星を地球に落とすという荒業なのだ!

落とす際に注意すべき点は、地表にたどり着くまでに燃え尽きないようにすること。

普通、人工衛星が地球に落ちる起動に乗っかっても、大気圏を越える際に燃え尽きてしまう…だからこその三連星なのだ。

三つの人工衛星を縦に並べて大気圏に突入させることによって、一つ目と二つ目が盾となり、本命である三つ目が燃え尽きないようにガードする。

つまり、最初の二つは捨て石、踏み台のようなものだ。

人工衛星が縦に並び、赤く燃えながら大気圏に突入する様は美しく、『赤い三連星』の名に相応しい。

「ジェットストリーム………」

石姫がボソリと呟く、作戦名『赤い三連星』がスタートしたのだ…。
< 60 / 401 >

この作品をシェア

pagetop