『A』

………

「………です」

石姫は、事のあらましを全て事細かに亮に説明した。

「………オイオイ、じゃあさっきの地震はお前の仕業かよ」

「…はいです」

「〜〜〜〜〜っ
………なぁ、ヒメ
オメェにわからんのは無理のないことかもしれんが…猫助けるのに、衛星一つ地球にぶつけるなんざ、どう考えてもやり過ぎだ」

「………」

「いいか、いくら人がいないトコに落としたっつっても、もしかしたら落下地点がズレるかもしれんし…
もしかしたら落ちてる途中にそこに人が来るかもしれん…
また、地震で怪我した奴もいたかもしれん…俺も、ちょっと怪我したしな」

「………」

「もっと上手くやれた筈だぜ?
電話して誰かに頼むとかよ?」

「………」

「………ヒメ?
っ!」

普段、無表情な石姫が泣いていた…涙を堪えに堪えて、それでもポロッと零れてしまった、そんな泣き顔だった。

「ック!…だって…電話してもリョー出ないし…
猫、かわいそうだし…」

グスグスと本格的に泣き始める、行き過ぎた行為ではあったが、きっかけは純然たる善意なのだ、最初に、褒めてやるべきだったかもしれない…。

亮はそう思い、心の中で舌打ちをした。
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