『A』
 
       ◇

――数日後。

「行ってきますです!」

「ん…いってら〜
………なぁみかん、ヒメの奴どうしたんだ?
昼になると必ずどっか出掛けていくが…」

「最近毎日だよね、彼氏でもできたとか?」

「ナニィ!?
それは許せんな…色々と」

謎の(?)人工衛星落下事件から数日後、新しくできた日課を行いに、今日も出掛ける石姫。

可愛いらしい帽子に、空色のワンピース、整い過ぎる程に整った容姿には、僅かに期待の色が浮かんでおり、恐らく誰もが、美少女…と認識することだろう。

強い陽射しの中、足取りは軽く、ルンルン♪という音が聞こえてきそうな程だ…。

事務所からそう遠くないマンションの一室、毎日決まった時間に、彼女はここのインターホンを押すようになった。 

ピンポーン

「おう、来たな」

ガチャリ、と、扉が開く。

「井上、元気してるです?」

「ああ、ま、とにかく飯頼まぁ」

「はいです」
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