『A』
「なるほど…ということは、劉さんは、相手の攻撃を受け流す達人なわけですね」
「ああそうだ、俺が知る中で最高の太極拳の使い手だ」
「太極拳…って、あの美容に良いとされる健康体操の?
………」
「堀田…何か勘違いしてるみたいだから言っとくが、本当の太極拳は恐ろしい武術だ
美容健康体操なんて平和な代物じゃねぇ
危険過ぎる武術だからこそ、ああいった広まり方をしたんだ
わかるか?」
「は、はい」
いつになく真面目な亮の顔に圧倒されたのか、貫はせわしなくコクコクと頷きながら返事をした。
「あれ?………
じゃあ、今回の相手は、攻撃が効かない上に危険な武術である太極拳の達人である劉さんですら勝てない相手…ってことですか?」
「ズバリそうネ
小さき人」
「それです!
お電話を頂いた時から、ずっと疑問に思っていた…
劉老師程のお方が、自分に助力を頼む程の相手なんですか?」
「………燕は強イ
実は、一度試合って、敗れているネ」
「な、なんですって!?」