恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~



 足を怪我して、三日目。

 金曜日。

 仕事を始めてすぐのこと。

 入り口がざわついているなと思ったら、

 かの切れ長イケメンの陣内係長が来ていた。

「鴇田さん!」

 私の名前、知ってたの?

 途端に胸が踊り出す。

 彼の手にはたくさんの物が抱えられていた。

「本当は昨日来たかったんだけど、出張で東京を離れてて」

 言いながら抱えていたものを私へ。

 出張先の土産やら、巷で人気のスイーツやら。

「そ、そんなお気遣いなく。ちゃんと歩けますし、大丈夫ですから」

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