恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 陣内係長は慣れたようにさりげなく

 布製の真っ白なナプキンを膝の上に乗せた。

「鴇田さん、ワイン飲める?」

「はい、大好きです」

「じゃあ、せっかくだし、飲んじゃおうか」

「はいっ!」

 好き。

 もう本当にこの人のことが好き。

 手元にメニュー表があるけれど、

 料理なんてもう何だっていいや。

 この雰囲気だけで、そしてこの気持ちだけで、

 胸もお腹もいっぱいなんだもん。

 ……いや、嘘ついた。

 お腹はやっぱり、減っているみたい。

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