恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 エレベーターの中に充満する

 二人の思惑。

 恋愛アンテナを張り巡らせている私には

 もうわかっている。

「また誘ってもいいかな?」

 きっと彼もわかっている。

 だから私は、

「え?」

 わざと焦らして、優位に立とうとする。

「いや、迷惑ならいいんだ」

 王子様の気を引くために、

 そしてその気を引き離さないために。

 私なりの、小細工。

 愛されるための駆け引き。

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