恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 やっぱり。

 いつかこんな日が来るんじゃないかと思っていた。

 どう答えるべきなんだろう。

「え、あの、どうして?」

 私はとりあえずこう聞き返した。

 江藤さんはキラキラネイルの手で前髪を斜めに梳かし、

 その流れで首元から胸元までの髪を撫でた。

 イイ女オーラが出ている。

 だけど、まだまだね。

 梨香には到底及ばない。

 なんて勝手に評論を展開している場合ではない。

「この間、下の名前で呼ばれていたので」

 大輔め。

 やっぱり気付かれちゃったじゃないの。

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