恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 きっと相談を受けている時に、

「この契約書じゃダメだ。俺が訂正しといてやるよ」

 とでも言ったんでしょうね。

 どうしてそんなことしたのかって?

 きっと仕事のできる新人が疎ましかったんじゃないかしら。

 陣内君ね、その後このトラブルを治めて、

 それが評価されて係長に昇進したの。

 北川君は一言も

「この契約書は陣内さんが作りました」

 なんて言わなかったけれど、

 陣内君が手伝っていたのは営業部周知の事実だったの。

 それなのに、北川君をかばうこともせず、

 まんまと後輩の売り上げを奪って、昇進。

 そして北川君は、うちに飛ばされたってわけ。

 言ってしまえば、左遷ね。



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