恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~
すっかり肌寒くなった秋の夜へ身を投げ出すと、
自分がすごく寂しい人間に思えたりした。
「ゆめちゃん?」
ふと後ろから聞こえた声に振り向くと、
今日も切れ長の目が素敵な陣内係長が退社していた。
「陣内さん……」
複雑な気持ちで会釈。
「今帰り?」
「はい」
「この間の埋め合わせってわけじゃないんだけど、これから飯でもどう?」
係長は今日もカッコイイ。
優しいし、暖かい。
だけど頭をよぎる、大輔との過去。
あんなに夢中になっていたのに……
「すみません、今日はちょっと」
もう何も感じなくなっていた。