恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

「そっか。それじゃ、また今度」

「はい」

 極めて社交辞令的な挨拶を交わし、

 その場で別れた。

 恋愛バブルが完全に崩壊した瞬間だった。

 梨香の嘲笑が頭を掠める。

 一体私は彼をどう見ていたのか、

 彼に対して自分がどんな顔をしていたのか、

 今となってはよくわからない。

 そんな自分が怖くなった。

 私のモラトリアムな恋愛癖が、

 とっても怖くなった。

< 170 / 280 >

この作品をシェア

pagetop