恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

「渋谷の町中でゆめと電話してる」

「渋谷? 渋谷にいるの?」

 なるほど、だからガヤガヤ聞こえるのか。

 私の足が勝手に走り出す。

「ああ、そうだけど。どうした?」

「私も行く」

 会社から駅は、さほど遠くない。

「はぁ?」

「行くから、渋谷」

 話しながら改札も抜けた。

「ゆめ、ちょっと待て」

「ねぇ、お願い。待ってて」

「はぁ?」

「今ね、すっごく、大輔に会いたいの」

 会って、ちゃんと謝りたい。

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