恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 会社の最寄り駅から、

 うちとは反対方向に数駅。

 地下鉄なのに、降りたのは地上三階。

 ビルのエスカレーターを駆け降りて、

 ハチ公前の広場に出る。

 この時間は人がうじゃうじゃしていて、

 行き交う一人一人に目を馳せようとすると

 目眩がしてしまう。

 結局大輔の許可も取らずにここまで来てしまったことを思い出し、

 また自分が情けなくなった。

 渋谷にいるってことは、きっと誰かと約束をしてたに違いない。

 だから大輔が私を待っているはずがない。

 ……バカみたい、私。

 自己中過ぎだ。

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