恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 一度冷静になると、心も体もどんどん冷えてきた。

 ヒールで走ったから足も痛い。

 また大輔に謝らなきゃ。

 今彼女はいないと言っていたけれど、

 今日の約束は女だったかもしれないし。

 邪魔しちゃってないかな。

 相変わらず勝手だなって、怒ってるだろうな。

 勢いで来てしまったけど、もう帰ろう。

 私は踵を返し、ビルの中にある駅へと向かった。

 大輔宛にメールを作りながら。

「急に勝手なこと言ってごめん。用事があるから渋谷にいるんだよね。私は大人しく帰ります」

 送信。

 お騒がせしてごめんなさい。

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