恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 前に進んでいるはずの体が、

 90度回転しながら後退した。

「ひゃあっ」

 バランスを取ろうと体を傾けると、

 ドンと何かにぶつかる。

 目で確認すると、ピンク系のネクタイが見えた。

「お前、勝手に呼んどいて勝手に帰ってんじゃねーよ」

 私の腕をつかみ、

 ぜえぜえと息を切らしているのは

「大輔……!」

 まさか、階段を駆け上がって来たの?

 小説的な展開に、思わず胸がキュッとなる。

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