恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~
「なんで……?」
「なんでって、自分が呼んだんだろ」
息を整えつつ、だけどまだ腕は掴んだまま。
「でも、誰かと約束してたんじゃないの?」
「してたけど……いいんだよ、別に」
ここでやっと腕が解放された。
大輔の呼吸も落ち着いてきた。
「何があった?」
「え?」
「お前が俺に会いたいとか、タダ事じゃないだろ」
私はただ、謝りたい一心だった。
でもそんなに大きく捉えられているなんて、
切り出しにくい。
「気になるだろ。言えよ」
大輔の顔は真剣だ。
笑って誤魔化すこともできない。