恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~
「聞いたの。大輔と陣内さんのこと」
白状すると、大輔の眉間に窪みができた。
「……そうか」
「こんなこと言ったらまたバカにされるかもしれないけど、今まで舞い上がってた気持ちが一気に冷めちゃって」
気まずいけれど、怒られちゃうかもしれないけど、
私は正直に話す。
「そしたら、大輔にものすごく申し訳なくなってきて」
改札に向かう人たちやアナウンスに負けないように、
一つ一つ、言葉を選ぶ。
「この間、あんな態度取っちゃったし、どうしても謝りたくなって。それも、電話とかメールじゃ嫌だったから……会いたくなった」
大輔は眉間にシワを寄せたまま、
暫く何も言わずに黙っていた。
たったそれだけのことで……って
呆れられているのかもしれない。