恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 梨香は落としたグロスを拾いながら

 キッパリと否定する。

「でも、キスしたりエッチしたりするっていうことは、好きってことだよね」

「好きって……まあ、好きってことなんだろうけど、恋愛とかとはちょっと違うから」

「えー、そうなの?」

「そうよ」

 恥ずかしがる梨香なんて、何年ぶりに見ただろう。

 今までずっと、私にすら秘密にしていた健吾との関係。

 二人は私に言えばショックを受けるだろうから、

 なんて言っていたけど、

 本当は別に理由があるような気がする。

 例えば……

「秘密の関係のほうが燃えるから」

 とか。

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