恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 世間は狭い、なんてよく言われるけれど、

 まさかこんな席で大輔に出くわすとは。

「なんだー。二人とも知り合いなのか」

「会社の同期だよ。驚いた」

 大輔の出現のせいで、私はこの場をどう乗り切れば良いかわからなくなってしまった。

「ちょっと、ゆめ。なかなかイイ男じゃない」

 梨香にぐいっと腕を引かれた。

「そ、そうかな?」

「あのスーツ、なかなかの上物よ。時計も、さりげなくオメガのイイやつ。あんたの会社、どんだけ稼げるのよ?」

 梨香……。

 金か?

 イイ男って、金なのか?

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