恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 そうよ。

 ほんとはそんな恋愛を目指してたけど、

 現実を見て、妥協して、

 積み重ねた条件をペラペラになるまで削ぎ落として。

 その中で見つけた、唯一のイケメン上司だったのに。

 ああ、考えると切なくなってきた。

 名前すら忘れてしまった二人はやっぱり呆れたような顔をしている。

 聞きたくないよね、こんな話。

 話すのも馬鹿馬鹿しくなった私は、

「健吾ー、水~」

 と言いながら席を立った。

 健吾から受け取った水を飲んで、

「ちょっと風浴びてくる」

 一旦店から退散。

< 193 / 280 >

この作品をシェア

pagetop