恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 バーの入り口には、木製のベンチがある。

 健吾の案なのかどうかはわからないが、

 淡い照明が当てられており、

 スピーカーからはジャズが聞こえる。

 冷たい秋風で、酔いを覚まそう。

 私はベンチに腰を下ろして、

 頭は先が丸くなっている背もたれに

 預けるように乗せた。

 目を閉じてジャズと秋風の心地良さを味わう。

 そこにシャラララ……とドアチャイムの音が奏でるハーモニー。

 目を閉じたままでいると、

 体がフワッと暖かくなった。

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