恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 笑い合うと、大輔のジャケットから大輔の匂いがした。

 ムカつくけど、やっぱ大輔ってイイ男だなー。

「ねえ、私たちって、どうして別れたんだっけ?」

 すると大輔はムッとしたようにこっちを向いて、

「覚えてないの?」

 と低い声。

「何となく覚えてるよ。でも、私、どうして別れるなんて言ったのかなって」

 大輔は思いっきりため息をついた。

「もういい! あんたを知れば知るほど、私の胸キュンが消えていく! って言われたのを覚えてるけど」

 あー……言った気がする。

 怒ってたとはいえ、恥ずかしい言葉のチョイス。

「だって、消えていったんだもん」



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