恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~



 翌日も仕事、ということで、

 会は10時ごろに解散になった。

 私は梨香と帰路につく。

 男三人は、まだどこかで飲むという。

「ねーゆめ。あたし、北川君オススメだわ」

 梨香は真剣な顔をしてこう言った。

「オススメされても、一度付き合ってダメだったし」

 だからもう、大輔という選択肢はない。

「あの人ね、話聞いたけど、結構誠実よ」

「さっきは貢がせてるとか言ってたじゃない」

「そう思ったけど、違ったみたい」

 それって、梨香も毒牙にかかったってことじゃないの?

 ……いや、梨香に限ってそれはない、か。

「それより、梨香」

 私は今、自分の恋愛より梨香の方が気になる。

「健吾、梨香のこと本気なんじゃないの?」

< 203 / 280 >

この作品をシェア

pagetop