恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~
翌日も仕事、ということで、
会は10時ごろに解散になった。
私は梨香と帰路につく。
男三人は、まだどこかで飲むという。
「ねーゆめ。あたし、北川君オススメだわ」
梨香は真剣な顔をしてこう言った。
「オススメされても、一度付き合ってダメだったし」
だからもう、大輔という選択肢はない。
「あの人ね、話聞いたけど、結構誠実よ」
「さっきは貢がせてるとか言ってたじゃない」
「そう思ったけど、違ったみたい」
それって、梨香も毒牙にかかったってことじゃないの?
……いや、梨香に限ってそれはない、か。
「それより、梨香」
私は今、自分の恋愛より梨香の方が気になる。
「健吾、梨香のこと本気なんじゃないの?」