恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 今まで何も感じ取れなかった私は、

 あまり強く言えるほどの自信はないけれど。

 もし健吾が梨香のことを好きなんだとしたら、

 応援したい。

「あいつ、10年間、何も言ってこなかったのよ?」

 梨香は声のトーンを少し低くして言った。

「もしあたしのこと好きだったら、一言くらいそういうこと言えるでしょ」

 そうかもしれない、けど。

「梨香は? 健吾のこと、どう思ってるの?」

 梨香は立ち止まり、笑った。

「好き」

 ……やっぱり。

「……だったの」

 え?

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