恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

「過去形なの?」

「そうよ。こんな関係なのに何も言ってこないんだもん。とーっくの昔に、そんな気持ちなくなったっつーの」

 梨香はまた歩き出した。

 私も歩幅を合わせる。

「梨香は、その時気持ち伝えたの?」

「まさか。あたしを誰だと思ってんのよ」

「梨香」

「そうよ。このあたしが、自分から男にすがるような真似、できるかってのよ」

 美女のプライド。

 私はそんな梨香に憧れてきたけれど、

 もしかしたらそのプライドが二人をすれ違わせているのかもしれない。

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