恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 梨香は最後の仕上げにリップグロスを塗って、

 プルプルになった唇で言った。

「あんた、まさかイケメン上司紹介しろとか言うんじゃないでしょうね?」

 ドキリ。

 少しだけ期待していた私の心が跳ねる。

「ま、まさか……」

「無理よ。そもそも勤めてる会社が違うんだから」

 CHANELのメイクポーチをGUCCIのバッグにしまい、

 私に釘を刺す。

「わかってますって」

 私も自分のポーチをバッグにしまい、

 梨香のあとを追った。

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