恋愛モラトリアム～夢見る乙女のオフィスラブ～

「ちょっと待って。私、今すっごくパニック状態」

「そうだろうな」

「そんなの、知らなかった」

「言ってないからな」

「どうして隠してたのよ」

「肩書き目当てで好かれても嬉しくないし」

「そんなの目当てにしてないし。むしろ今それ聞いてすっごく腹立ってるし」

「ハハ、腹が立ってくれる方が嬉しいよ」

　大輔が隠してることって、これだったんだ。

　江藤さんが言ってた

「何でも知ってる」

　って、これのことだったんだ。

「じゃあ、秘書課って」

「ああ、重役の仕事の勉強のため。俺のじいちゃんとうちの会社の会長、親友同士でさ。自分の会社で甘えて働くより、ちゃんと一回就職したほうがいいからこの会社に来たんだ」