恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 悔しい。

 何だかすっごく悔しい。

 御曹司とか社長とか、大好きだったはずのキーワードも

 今となってはどうでもいい。

「どう? テンション上がった?」

「全然。むしろ急降下」

「嫌いになったか?」

「……そんなわけないでしょ」

 大輔は一旦私の髪を撫でて、

 ようやく待ち焦がれていた言葉を口にした。

「じゃあ、改めて。もう一度俺と付き合ってくれる?」

「うん」

「言っとくけど、結婚前提だぞ」

 大輔と初めてのオフィスでのキスは、

 三年前に期待していた以上の甘い甘いキスだった。




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