恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

「ところで、あんたたちは結局どうするのよ」

 梨香は自分の結婚なんてまるでどうでも良い話題かのように

 すぐに話を切り替えてしまった。

 健吾も同じくいつもの仕事に戻っていく。

「うん。結婚するつもり」

「何よ。あんたたちの方が急じゃないの」

「どうして?」

「あたしたち、結局10年付き合ってたようなものだから」

 そっか。

 彼氏・彼女という肩書きがなかっただけで、

 二人はずっと関係を持ちながら

 お互いを密かに思い続けてきたわけだから

 付き合っていたのと変わらないってことか。

< 272 / 280 >

この作品をシェア

pagetop