恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

「マスター。俺、とりあえず生」

 騒ぐ私を無視して、大輔はメニューを眺めながらオーダーを出す。

 メニューを見るなんてまだまだね。

「ところで、梨香ちゃん」

 大輔がニヤリと笑みを向ける。

「な、なによ」

 梨香は怯えたように肩をすくめた。

 な、何?

 この二人、何かあるの?

「あのこと、ちゃんとゆめに言ったの?」

 生ビールを持ってきた健吾もニヤニヤしている。

「こ、これから言おうと思ってたとこよ」

「え? 何?」

 また私だけに隠し事?

「ゆめ。実はゆめに、黙ってたことがあるの」

< 275 / 280 >

この作品をシェア

pagetop