恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~
「マスター。俺、とりあえず生」
騒ぐ私を無視して、大輔はメニューを眺めながらオーダーを出す。
メニューを見るなんてまだまだね。
「ところで、梨香ちゃん」
大輔がニヤリと笑みを向ける。
「な、なによ」
梨香は怯えたように肩をすくめた。
な、何?
この二人、何かあるの?
「あのこと、ちゃんとゆめに言ったの?」
生ビールを持ってきた健吾もニヤニヤしている。
「こ、これから言おうと思ってたとこよ」
「え? 何?」
また私だけに隠し事?
「ゆめ。実はゆめに、黙ってたことがあるの」