恋愛モラトリアム~夢見る乙女のオフィスラブ~

 何……?

 途端に胸がざわつきだす。

 梨香の表情からして、ただ事ではない。

「何? 梨香。ちゃんと話して」

 梨香は白状するのが恥ずかしいようで、

 一旦顔を覆ってはこちらを向いて、

 また顔を覆ってはこちらを向く、

 というのを繰り返す。

「ほら、早く」

 健吾が急かす。

「言わないと、代わりに俺が喋っちゃうよ」

 大輔が追い討ちをかける。

 こんなにハッキリしない梨香は激レアだ。

「あのね、ゆめ」

「うん」

「実は、あたし……」

 梨香の言葉に、私は耳を疑った。

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