うなうな
真っすぐに神田を見つめる瞳は尊敬の眼差し以上なものが含まれている様な気がした。
文人は剣道部顧問である神田に懐いていた。
それはもう妬けてしまう程に。
一度問いただした事があるが、尊敬して止まない存在だと言い切られた。
「そうだな。よろしく頼む」
「はい」
フッと一瞬笑った神田に、大きく頷く文人。
なんか、むかつく。
文人に信頼している神田も、神田を尊敬している文人も。
一番は、そんなことを気にしている自分にだ。
文人と付き合っているのは俺なわけだし、ちゃんと好きだとも言われた。
それでも、文人の事となるとどうも調子が狂う。
それなのに、ヤキモチを妬いてみせない文人に苛立つ始末。