ストレートラブ
近づく王子サマ
「山下く~ん!!!こっちだよ~!」
「…………」
「山下く~ん!おっはよ~!!」
山下くんは照れたのか視線を逸らす。(正しくは呆れているだけ)
ありゃ、やっぱり距離が遠かったかな?そう思って反省をしたのも束の間、
「滝沢さーん!!!」
ミスメガネがあたしの元へ怒りを露わにしてやってきた。あら、これはヤバい。
「屋上から声を出してる生徒がいると聞いて飛んできたの。何してるの!」
そう、あたしは今屋上にいる。なぜって?そりゃ、登校してくる山下くんに挨拶をするためだよ。
「メガ……先生!あたしは声出しはしていません!ただ、好きな人に挨拶するためにこの場所を選んだんです!」
「バカなこと言わないで!事故防止のためにも、屋上は昼休みのみ解放になっているの。知ってるでしょ?」
「知りません!第一、あたしは鍵なんか持っていませんし、ここの鍵を閉め忘れていた教師が悪いんじゃないですか?いかにも入れって言ってるようなもんじゃないですか」