ストレートラブ
そんな2人の会話を上辺だけ聞いておき、ドアにベッタリとくっついて山下くんを観察し続ける。
うわ!あの子、何挨拶してんの!さり気なくとか言いつつ、思いっきりボディタッチしてるじゃない!
「沙良、ドアが嘆いてる」
「知らないよそんなの!」
「公共物よ。ドアに謝りな」
んもう!夏生に離されて渋々ドアに頭を下げた。
「沙良さん、ちょっと待ってて。アイツ呼んでくるよ!」
「え!本当に!?里津くんありがと~」
「本当はそれ、狙ってたんでしょ」
「えへ☆夏生にはバレちゃった?」
「他に何の理由があってついてきたって言うのよ」
里津くんが山下くんに声をかける。するとギロッとあたしを見た。な、何か目が鋭いな。
でも、ノロノロと席を立ち上がってこちらに向かって歩いてきた。