ストレートラブ





「……あのさ」



「何!?」



「近い」



歩き始めてすぐに山下くんから出た言葉。



「こんなの恋人同士なら普通だよ?むしろもうちょっと近づくかなぁって……」



「一言も付き合うって言ってない」



あ、バレちゃった?



「離れて」



「じゃあ2mmだけね!」



「……変わんねぇよ」



「あたしにとってはすごく距離をあけたことなのに、変わってないなんてひどい!」



「はぁ……もういい」



ふふ、このままでいいんだよね?嬉しくなってさらに少しだけ近づいてみた。



「だから近いんだって」



「山下くんってミリ単位で近づいただけでも気づくんだね?」



「ミリ以上だろ、これ」



「そんなことないよ~?」



ゲッソリする山下くんだけど……ごめんね、山下くん!あたしはこのチャンスが嬉しすぎてテンションは上がっちゃう一方なの♪



「ねぇ、山下くん!」



「あ?」



「どうして一緒に帰ることにしたの?」



あんなに拒否っていたのに、山下くんから言われるなんてちょっと気にするじゃん?そりゃ、叫びたいくらい嬉しかったんだけどね♪





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