ストレートラブ





「振り向いてくれないかなぁ~」



「沙良、問題解いてくれないかな?」



「廊下通ったりしないかなぁ~」



「……おいコラ、くねくねしながら話してる暇があるなら、解け」



はい、出ました鬼☆夏生。しぶしぶ、ピンク色のシャーペンを手に取って、問題を解くことにした。



「夏生ぃ、これ何て読むの?」



「……もう1年からやり直せば?」



「そしたら山下くんと同じクラスになれるかな!?」



「それよりもそうなったら沙良のお母さん、悲しむよ」



マザーの顔が浮かぶ。……悲しむっていうよりも、人格変わっちゃいそう。



「ガ、ガンバリマス」



「それでいいわ。ほら、これはね……」



それから口調は荒くとも、あたしに丁寧に教えてくれた夏生だった。





< 155 / 332 >

この作品をシェア

pagetop