ストレートラブ
「振り向いてくれないかなぁ~」
「沙良、問題解いてくれないかな?」
「廊下通ったりしないかなぁ~」
「……おいコラ、くねくねしながら話してる暇があるなら、解け」
はい、出ました鬼☆夏生。しぶしぶ、ピンク色のシャーペンを手に取って、問題を解くことにした。
「夏生ぃ、これ何て読むの?」
「……もう1年からやり直せば?」
「そしたら山下くんと同じクラスになれるかな!?」
「それよりもそうなったら沙良のお母さん、悲しむよ」
マザーの顔が浮かぶ。……悲しむっていうよりも、人格変わっちゃいそう。
「ガ、ガンバリマス」
「それでいいわ。ほら、これはね……」
それから口調は荒くとも、あたしに丁寧に教えてくれた夏生だった。