ストレートラブ
そう思いながらも、山下くんが持ってきたお菓子を口へ運ぶ。
「夏生~このチョコ美味しいよ」
「どうせ、山下くんが持ってきたからでしょ?」
「もしかして山下くんの手作りとか!?うっそ~!だから甘いのかな?」
「沙良、販売会社が泣くわ」
ちぇっとすこしばかり肩を落とすあたし。すると、タイミング良く夏生のケータイが鳴った。
「もしもし。うん、あたし。うん、え?嘘、借りっぱなしだった?」
ケータイを耳に当てて話をしている夏生。おや?何かあったのかな?話終えた夏生に尋ねてみた。
「沙良ごめん。山城くんに、明日提出のプリント渡すの忘れてたから、今から行ってこようかと思うんだけど」
「うそ~ん!山城くんに、あたしと夏生の時間を取られちゃうのは寂しいけど、夏生にもラブタイムはなくっちゃね♪」
「変な心配はしなくていいから」
またまた~っと冷やかしながら、帰り支度をするあたし。それから『また遊ぼうね』と、ドア元にあるクマちゃんに別れを告げた。
「あっ!山下くんに挨拶してくる!」
夏生の部屋を出た後、夏生の返事も聞かずに、すぐさま里津くんの部屋へと向かった。