ストレートラブ





「沙良~起きてる?もう時間よ!」



「起きてる~!準備なう!」



そう言いながら滝沢家の娘は、ベッドから飛び起きた。そう、いわゆる寝坊をしてしまったのだ。



「しまった~こんな日に限って!」



今日はバイト初日。ついにこの日がやってきてしまったのだが、あたしはいつものように深い眠りに入っていたのだ。



「いってきま~す!」



寝坊をしたことはバレてるはず。でも、チャリでダッシュすれば間に合う……はず!チャリに飛び乗って、バイト先のお弁当屋さんを目指した。



結局、今日まで家事をしたり、気が向いたら課題をしたり、夏生の家に押しかけたりしていた。でも、まだ山下くんには会えないまま。そろそろ、山下くん不足も限界がきそう。



「今日こそはどこかで会えますように!」



些細な望みを託しながら、チャリをこぐ。今日は快晴。真夏日で汗も滴るけど、いいことがありそうな予感♪



「おはようございます!」



遅刻することなく、無事に到着。息を整えて中に入って挨拶をした。



「いらっしゃい」



出迎えてくれたのは、おじさんとおばさん達数人だった。




< 176 / 332 >

この作品をシェア

pagetop