ストレートラブ
「お疲れ様でした!」
バイト初日、予想以上に疲れたけど、あたしはめげないぞ。お盆の勢いに負けてたまるか!そう思って、チャリに飛び乗った。
「お疲れ様でした」
皆さん、あたしはついに幻覚が見え始めたのだろうか。あのね、向かいのお店から山下くんが出てくるのが見えたんだもん。
「やっ、山下くん!?」
思わず叫んだ。叫ばないわけにはいかなかった。あたしはチャリを押して、向かいの店のパン屋にいる山下くんらしき人の元へ向かった。
「……え、あ」
「山下くんだよね?本物だよね!?」
「お疲れっしたー!」
動揺を隠しきれずにいると、店からもう1人出てきた。よく知ってる、夏生の弟の里津くんだ。
「あれ?沙良さんじゃないっすか!」
「ねぇ、里津くん!なんで、山下くんがココから出てきたのか知りたいんだけど!ねぇ、なんで!?」
「おっ、落ち着いてくださいっ。話しますってー」
里津くんの肩を大きく揺らしていると、ストップというように訴えた里津くん。
「ココ、俺達がバイトしてるとこっすよ。姉ちゃんから聞いてなかったっすか?」