ストレートラブ





「向かいのお店に山下くん~♪いつもクールな山下く~ん♪ふへへ」



ゴミ捨ての帰りに鼻歌を口ずさんでいる、バイト4日目のあたし。外で気温は暑いのに、そんな暑さにも構わず顔はニヤける。



「あ~ん、山下くんの姿見えないかなぁ?」



首を伸ばして向かいのパン屋さんを見るが、なかなか中の様子は見えない。ショボンと落ち込んで、厨房へ戻った。



「あら?滝沢ちゃんどうした?暑さにやられた?」



「垣根さ~ん、好きな人にアタックしてるんですけど、なかなか振り向いてもらえないんです!」



「それは恋の悩みかー若いうちは山ほどある悩みだね」



クスッと笑いながら、A弁当の盛り合わせを続ける垣根さん。それから、2人で手を動かしながら恋の話に花を咲かせた。



「え!そうなんですか?」



「そうなの。もう、好きな人に猛アタックして、やっとのことでオッケーもらえて。あの時は本当に嬉しかったわ」



「やっぱり諦めないでアタックしていれば、いつか相手のハートをつかめますか?」



「少なくとも私は、そう信じて旦那の追っかけをしてたよ。あっ、その人旦那なの」



追いかけた恋が、結婚へ結びついて、垣根さんの幸せになってるのか。うふふ、あたしにも未来はあるね!




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