ストレートラブ





「唐揚げ弁当5、チキン南蛮弁当3、注文入りました!急ぎですので、テキパキと動いてくださーい」



はい!の返事と共にみんなが目の色を変えて動き始めた。あたしもその波にのって、洗い物を開始。



容器を並べて、野菜に唐揚げにと容器につめていく。そして、じわじわと厨房に食欲をそそる匂いが広がる。



お腹が空いたなぁなんて思っていると、垣根さんがニヤニヤしながらあたしに近づいてきた。それはエサをくれる合図。バイトしててこのやり取りを何度したことか。



「唐揚げおいひ~ですっ」



「ヨダレ垂らさないでよ?」



垣根さんとのこの時間も少しずつ、楽しいなって思えてきた。お母さんより少し上の歳だけど、仕事の事や恋愛のことまで話せるのってなんかいいな。



「唐揚げ、チキン南蛮出来ました!」



あっという間に出来上がった注文の品。みんなの長い間積み重ねたチームワークが、目に見えて分かる。



「次、注文入りましたー!」



そしてまた、お弁当を作っていく。この繰り返しが今日もまた続いていく。



─────



「やっほ」



「嘘!夏生!?」



バイトが終わって外に出ると、電柱の下に立つ夏生がいた。




< 181 / 332 >

この作品をシェア

pagetop