ストレートラブ





「面白い顔してんね」



「え!だって……え?今日約束してたっけ!?」



ニッと笑ってあたしの元へ近寄る夏生。あたしもスキップをして近寄……



「チャリ忘れてる」



……れずに、チャリを取るために駐輪場にUターンした。そして、夏生も自分のチャリを押し、2人で歩き出した。



「今日はどうしたの?バイト終わり?」



「うん。早く上がれたから寄ってみた」



「いや~、あたしに会いに来るほど、あたしのことが恋しくなったんだね~」



「何か言った?もう来ないよ?」



「ダメ!またいつでも来てよっ」



「……はいはい」



車輪の回る音を聞きながら、歩道を歩くあたし達。夏休みに入って夏生とは何度か会ったけど、こんなにのんびりした時間を過ごすのは久しぶりだ。



「コンビニはどんな感じ?」



「酔っ払いに絡まれたり、口うるさい客が来たり、いろんな人がいるなって思ったよ。あ、沙良みたいな人もいた」



「それって、褒め言葉だよね!」



「……ま、それはそうと、沙良はどうなの?」



「あたし?楽しくやってるよ!話しやすいおばちゃんもいてね、恋の悩みも打ち明けられるの!」



「バイトに何しに行ってんのよ」



ふっと笑う夏生の横顔が大人びて見えた。




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