ストレートラブ





「滝沢ちゃん、浮かない顔してるわね?最終日なんだから、もうちょっとシャキッとしな」



バイト最終日、垣根さんに言われて力なく頷いた。そう、今日あたしは元気がない。そりゃ、バイトのみなさんに会えなくなるのも、一理ある。



でも、本当の理由は違う。超私事なんだけど、山下くんと花火大会に行けないことが理由なのだ。



「垣根さ~ん、今日の花火って何時からですか?」



「何時だっけ?滝沢ちゃんのバイト終わりくらいだと思うわ。あっ、それで元気ないわけ?」



「はい。好きな人を誘うことも出来ませんでした~」



「あら。代わってやりたいけど、私も今日は、主人に誘われて行くことになってるの。滝沢ちゃんの分まで楽しんでくるよ」



「垣根さ~ん!」



「今年はもう最後だから、また来年、その人を誘ってみることだね。どうせ、まだゾッコンでいそうだしね?」



来年か。まだまだ遠いけど、あたしが山下くんを諦めることはない!その予定も、もちろんない!



「そうですよね!あたし、また来年チャレンジします!」



今年は仕方ないけど、来年こそは必ずや!



「滝沢ちゃん、コレよろしく!」



そしてまた、仕事に戻った。




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