ストレートラブ





「お疲れ様でした!」



バイト終了時間、残っている従業員に1人ずつ挨拶をして、お弁当屋さんを出た。



「あっ!滝沢ちゃん!」



すると、店長が慌てて追いかけてきた。働いた分のお金はもらったし、エプロンもクリーニングに出してから返すって言ったし。



「コレ!余分に作っちゃって余ってたし、それに今日は最後だし持って帰りな!」



店長から渡されたのは、お店の唐揚げ弁当だった。あたしは、手渡された2つのお弁当を抱え込んだ。



「店長~ありがとうございます!またお店に遊びに行きます!」



「また働きにおいで!今度は彼氏でも紹介してよ」



初バイトは、たくさん失敗してたくさん迷惑をかけた。だけど、目上の人と働くのことの厳しさや楽しさを、あたしなりに学べた気がする。山下くんとの時間は減っちゃったけど、バイトができてよかったって思える。



そして、いっぱい店長に手を振って、2つのお弁当が入った袋を下げて歩き出した。



「……おい」



すると、背後から声がした。周りは薄暗い。これはもしかしての……ナンパ!?



「すみません!あたしには未来の旦那様がいるので、ナンパは受け付けないのですが!」



「は?何言ってんの」



ん?こ、この声は!!!





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